米澤穂信と撤退の美学────『冬期限定ボンボンショコラ事件』によせて
米澤穂信の、特に初期の作品においては、幾人かの主要な登場人物に共通するエートスがみられる。この短いテクストではそれを「撤退の美学」と名指し、それがいかに彫琢されてきたかを跡付けようと試みる。「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に、だ」*1...
View Article2024年4月に読んだ本と近況
ぼんやりしています。先月の。2024年3月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬印象に残った本1冊選ぶなら『オッペンハイマー』。とにかく情報量が多い!読むのは相当のしんどさがあったので、それもあって印象に残りました。オッペンハイマー 上 異才 (ハヤカワ文庫NF)作者:カイ バード,マーティン J シャーウィン早川書房Amazon amberfeb.hatenablog.com...
View Article非キャラクター小説としての探偵小説────松本清張『点と線』感想
松本清張『点と線』、もはや古典だし大筋は知っているし、「読んだ」風を装ってたのですが、読んでませんでした。えへへ。でもいま読んだので感想。 料亭の女中二人を自身の見送りに東京駅まで連れてきた男。そのとき、別のプラットフォームから、男と連れ立って旅行に行く様子の別の女中をみかける。その後、その女中が福岡の海岸で情死体となって発見される...。...
View Article『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』感想
『劇場版ハイキュー!!ゴミ捨て場の決戦』をみました。以下、感想。 春高バレー第3回戦、烏野高校は、何度も合同練習をともにしてきた因縁のライバル、音駒高校と激突する! 古舘春一による漫画のアニメ映画化。これまで4期ものテレビシリーズで烏野高校の、そして日向翔陽の奮闘を描いてきたが、クライマックスを飾る劇場版二部作の一作目となる。原作とアニメ1期については以下の記事で感想を書いた。...
View Articleたまたま多摩動物公園
子どもを連れて遠出して、多摩動物公園にいきました。はじめて行ったんですけど、多摩丘陵の地形がダイレクトに残っていて高低差が半端ないんですね。抱っこ紐で子どもを運ぶの、つかれたぜ…。 これはサーバル。はじめて実物みたかも。すらっとしていてかっこいいですね。カワウソのキーホルダーを買って帰ったのでした。
View Article松本清張『ゼロの焦点』感想、あるいは宮部みゆき『火車』のこと
『点と線』に続いて、未読の松本清張の代表作を読んでいこうという気持ちで読みました、『ゼロの焦点』。以下、感想。作品の核心部分に触れています。 お見合いによって、年上の広告代理店の男と結婚した女。しばらく勤務していた金沢から東京に移るにあたって残務処理のため金沢に滞在していたはずの男は、しかし行方知れずになってしまう。女は男を探し、金沢へと赴く。...
View Articleファジーな王道────『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP 劇場用再編集版』感想
『ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP 劇場用再編集版』を駆けこみでみました。明日からはもう劇場版も公開なんですね。以下、感想。 我々の現実世界の競走馬の名前を受け継いで生まれる「ウマ娘」たちが、レースに鎬を削る世界。ウマ娘たちが通うトレセン学園でクラスの委員長を務めるナリタトップロードは、クラスメイトや近所の商店街の人たちの期待を受けて、ライバルたちと切磋琢磨していく。...
View Article照れと雑味とひたむきさ────アニメ『ウマ娘 プリティーダービー』感想
劇場版公開で盛り上がっているところですが、いまさら『ウマ娘 プリティーダービー』シーズン1、みました。以下、感想。...
View Article孤独でささやかな世直しのために────高桑和巳『哲学で抵抗する』感想
高桑和巳『哲学で抵抗する』を読んだので感想。 著者はジョルジュ・アガンベンやミシェル・フーコーの翻訳で知られる哲学者。本書の内容もそうした錚々たる哲学者をひいて…ということを想起したのだが(とりわけフーコーは「抵抗」というテーマとかなり親和的にも思えるし)、そんなことはなく、むしろ狭い意味でのアカデミックな哲学の外側に、まさにクリティカルな哲学の営為を見出していく、そうしたタイプの入門書だった。...
View Article2024年5月に読んだ本と近況
生きてます。先月の。2024年4月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬印象に残った本哲学で抵抗する (集英社新書)作者:高桑 和巳集英社Amazon 一冊選ぶなら高桑『哲学で抵抗する』。...
View Article関節技おそるべし!────『餓狼伝: The Way of the Lone Wolf』感想
『餓狼伝: The Way of the Lone Wolf』をみたので感想。 師匠の娘を襲った暴漢を過剰防衛で殺害し、指名手配となった男、藤巻十三。古武術・竹宮流を修めた藤巻は、その武器をあくまで秘して平穏な暮らしを送ろうとするが、彼のうちに眠る飢えた狼の血は、あるいは宿命は、それを許さない。...
View Article苦しみを君と分けあって────『君は放課後インソムニア』感想
『君は放課後インソムニア』をみたので感想。原作はこれから読みます! 不眠症に悩む高校生、中見丸太は、ふとしたことから、クラスメイトの曲伊咲も同じく不眠で苦しみ、時おり誰もいない天体観測室で睡眠をとっていることを知る。不機嫌で内気な中見と、活発でクラスの輪に溶け込む曲は級友ながらも接点はなかったが、同じ悩みを共有していると知ったことで、奇妙で特別な時間をともに過ごしていくことになる。...
View Articleささやかな嘘つきたち────『栞と嘘の季節』感想
米澤穂信『栞と嘘の季節』を読んだので感想。内容に触れています。 高校の図書委員をつとめる堀川次郎は、返却された本に挟まっていた凝った細工の押し花をあしらった栞が、毒草トリカブトを加工したものだと気づいてしまう。堀川は、同じく図書委員で、かつてささやかな秘密を共有した松倉詩門とともに、学校空間に死の予兆をまねくこのしおりの持ち主を探すのだが…。...
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