8月、まじで具合が悪かったです。
先月の。
印象に残った本
1冊選ぶならアンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』。これ、読むならぜったいネタバレ回避したほうがよいです!
読んだ本のまとめ
2024年8月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2308ページ
ナイス数:131ナイス
■アラビアのロレンス改訂版 (岩波新書赤版 73)
いまから半世紀以上前に書かれたアラビアのロレンスの伝記。元々戦前に出たものだったというのだから驚く。自己顕示欲と、それと真逆の自己消滅願望に引き裂かれた男の生涯を、格調高い美文で語る、いま読んでも色褪せていないのがすごい。毀誉褒貶の激しいこの人物に対して、崇拝するでもなく貶めるわけでもない筆致もバランスが取れている。
読了日:08月02日 著者:中野 好夫
https://bookmeter.com/books/198976
■猟銃・闘牛 (新潮文庫)
不貞を犯した男へ宛てられた、愛人、その娘、そして男の妻の三者からの手紙からなる「猟銃」、戦後直後の混乱期に阪神球場で闘牛を企画した男が泥沼に転げ落ちていく「闘牛」、ほか一篇所収。「闘牛」の、ほとんど負けを約束されたようなギャンブルにのめり込んでいく男の虚無が素晴らしい!
読了日:08月09日 著者:井上 靖
https://bookmeter.com/books/505623
■ナチス破壊の経済 上
ナチス政権とそれが引き起こした戦争を、経済的基盤からその破局的な有様を解き明かそうとする試み。第一次世界大戦後のドイツは決して先進的な工業国ではなく、明らかに米英に劣後していたのだということをさまざまなデータから証明し、しかし強権的な動員のシステムによって、ほとんど破綻すれすれの薄氷を踏むかたちで戦争の準備をしていったことがこの上巻で扱われる。読んでいるとどこかで経済が破綻し政権が倒れてもおかしくなかったように思えてくるが、そうならなかった不思議に改めて慄く。
読了日:08月17日 著者:アダム・トゥーズ
https://bookmeter.com/books/14030206
■かながわ昭和たてもの散歩
建築士会のセレクトによる昭和の建物紹介。70周年記念の企画らしい。公立中学校の校舎とかがセレクションされてたりして結構おもしろい。しかしタイトルに散歩とあるが申し訳程度の地図がついているくらいの感じで、到底お散歩本とはいえませんな。巻末にあるコンクール受賞作品の一覧とか、資料性高くてよさそう。
読了日:08月25日 著者:「かながわ昭和たてもの散歩」 編集チーム
https://bookmeter.com/books/21504491
■プロジェクト・ヘイル・メアリー 上
宇宙船でひとり目を覚ました、記憶喪失の男。宇宙船の状況、そして断片的に蘇る記憶から、男が地球の命運をかけたミッションを託されたことが明らかになる。科学的知識を散りばめ、突飛な状況にリアリティを付与してみせる手つきは流石の巧みさ。『火星の人』もそうでしたが、主人公の男が、孤独に(途中から驚くべきパートナーを得るもののの)、科学的知識を活かして自身の使命を果たそうとするさまは、アメリカ人にとっての一つの理想を立ち上げようとしているようにも思えた。
読了日:08月29日 著者:アンディ・ウィアー
https://bookmeter.com/books/18870819
■宮脇俊三と旅した鉄道風景
宮脇俊三の海外旅行に「屈強なカメラマン」として随行した著者が、その思い出とともに宮脇晩年の海外鉄道旅行の際の写真を収めた一冊。写真はヨーロッパの雄大なランドスケープと宮脇を写したプライベート写真っぽいのもあったりして、味。しかし宮脇俊三、海外鉄道旅行ツアーみたいなのを主催したりしてたんですね、知らんかった。
読了日:08月30日 著者:櫻井 寛
https://bookmeter.com/books/6432676
■プロジェクト・ヘイル・メアリー 下
思いもかけないパートナーとの共同作戦が進行する中、さまざまな危機を潜り抜け、ついに地球を、人類を救うよすがを得る。下巻もまったくテンションを落とさず、宇宙での決死の作戦が進行し、手に汗握って読みました。主人公の過去の核心も、そしてなにより決着も、予想を超えるものが出てきて大変満足しました。
読了日:08月30日 著者:アンディ・ウィアー
https://bookmeter.com/books/18870821
■国家はなぜ存在するのか: ヘーゲル「法哲学」入門 (NHKブックス 1286)
ヘーゲルは流行病によって命を落としていたのだというのを話の枕に、時にフーコーを参照軸としながら、『法の哲学』を現代に引きつけながら読解していく。フーコーが重要視したポリツァイをヘーゲルもまた着目していて、その有用性と危険性とを講義の中で語っていたというのはおもしろく感じた。また、ジェンダー的な観点や人種主義的な観点から、現代からすると明白に正しくない言明をしていることも説明され、誠実。
読了日:08月31日 著者:大河内 泰樹
https://bookmeter.com/books/22006896
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先月の。